飼育・繁殖シリーズ       報告  栃木県宇都宮市 伊藤 正
キジ類繁殖入門  10/01/01 ミールワームの養殖
孵化・育雛
シリーズ
マクジャク 12/01/03
ニジキジ 10/01/03
ボルネオコシアカキジ 08/01/03
 キジ類人工育雛 06/01/03

 キジ類人工育雛 04/01/03
 
キジ類人工育雛 02/01/03
 キジ類人工育雛 12/01/02
キジ類人工育雛 仮母 10/01/02
キジ類人工育雛 孵化 08/01/02
キジ類人工育雛 孵化 06/01/02
キジ類人工育雛 孵化 04/01/02
キジ類人工育雛 孵化 02/01/02
キジ類人工育雛 産卵 12/01/01
6. セイランの飼育繁殖
産卵開始 3年
禽舎面積 3〜6坪
産卵時期 4月上旬〜10月上旬
産 卵 数 2〜12個
卵   重 80g
ふ化日数 25日
(1)特徴・魅力
最も飼育管理が容易で、初心者が飼育するのに適したキジです。非鴬に人に良く慣れ、直接人の手から餌を取るようになります。オスとメスが常に仲が良く、メスが繁殖期に攻撃され殺傷されるようなことはまずありません。繁殖は容易ですが、その魅力は長年飼育していても飽きないことです。特に繁殖期のオスのディスプレイが素晴らしく神秘的です。翼に500個近くの特徴的な目玉模様がありディスプレイのとき見ることができます。翼を広げた瞬間のディスプレイの写真は良く目にしますが、実際の動きのあるその姿を見ると写真とは全く違って正に自然の驚異です。長い尾羽を立てて揺らしたり、ディスプレイのクライマックスには激しく振り下ろして、メスを誘います。

地震に極めて敏感で、人間が揺れを感じる数秒前に普段とは違う地震を知らせる独特の声で鳴きます。震度1にならない僅かな揺れにも反応します。夜間止木に止まっていても揺れの前兆を感じるのは不思議でなりません。鳳鳳の原型はこのセイランか近縁のカンムリセイランといわれていますが、荒俣宏著「絶滅・希少鳥類」を見ると西洋の古い絵画は皆セイランを描いています。セイランの属名「アルグシアヌス」はギリシャ神話の百眼の巨人アルゴスの名にちなんでつけられました。カンムリセイランより特異な姿のこのセイランが鳳凰のモデルかも知れません。翼の目玉模様はもとより頸から後頭部の羽毛更に頭頂部の形は鳳鳳そのもの(?)です。
(2)禽舎
飼育繁殖は容易で、禽舎の面積は2坪程度でも簡単に繁殖できますが、一般的には広さ4坪・高さ2.5m程度は必要です。更に2倍程度の広い禽舎であれば理想的です。構造は半露天の禽舎が良いでしょうが、面積が小さい場合は全面屋根を設けます。繁殖期のオスは禽舎の中央でメスを中心に1.5m程度の尾羽を立てたり激しく振り下ろしてディスプレイをするので、障害物となるものを置かないようにするとともに、止木の高さは尾羽が触れない高さに取り付けます。親鳥によるヒナの自育(自然繁殖))をする場合、高所の止木に斜めに立てかけた木を取り付け初生ビナが止木に登れるようにすると良いと言われますが、ヒナが小さいうちは完全に止木を取り外すのも良いのではないでしょうか。冬季の禽舎内には落葉樹の落葉などを入れれば少しは防寒に役立つとともに、餌にもなります。

(3)管理
メスがオスに繁殖期に攻撃されることはまずありませんが、念のため禽舎内にメスが隠れる場所を必ず作ります。オスとメスは相性が良く、ペアを組み替えてもすぐ仲良くなります。冬季の寒さの厳しい地方では防寒に工夫します。直接寒風が当たらなければ氷点下10度程度までは問題ありませんが、足の指が凍傷により損傷することがあります。足指の凍傷は禽舎の面積や構造、止木の太さや形、時には与える餌やその鳥の個体差(体質・性格など!もあるかも知れません。凍傷を防ぐのには、止木はなるべく幅と厚みのあるフラットなものとします。止木にペット用の板状ヒーターを取り付け足下の温度を氷点下にならないように保てれば、気温が氷点下10度〜15度の地域でも飼育は十分可能と思われます。オスもメスも繁殖期にはホーオー(鳳鳳)と連続して鳴きますが、多くても1日に数回以内で、鳴声をあまり気にすることもありません。オスは換羽後長い翼や尾羽は伸ぴるまでに3〜6ヶ月かかり、美しい姿となるのは12月から翌年の1月になります。この半年間は鳴くことは稀です。

(4)飼料
セイランは多様な餌を食べます。思いつく餌は何でも与えてみてください。多くは一般の鶏用の餌を与え、更に野菜(菜類、ダイコン、ニンジン、キュウリ、トマト、サツマイモ・その他)や果物(リンゴ、バナナ、スイカ、その他)を与えます。鳩の餌や落葉樹の落ち葉・笹の葉・朽ちた木・枯れ木の小枝などを喜んで食べたり遊んだりします。キジ用のペレット飼料が入手できる方は利用するのも良いでしょうが、案外ペレットは鳥が好まないこともあります。栄養価よりその鳥が喜んで食べるような餌を与えます。ミールワームなどの生き餌や蚕の蛹など入手できれば与えた方が良いでしょう。
(5)産卵・ふ化
オスのディスプレイは羽が伸ぴきる1月の晴天の日に行うことがあります。ディスプレイが盛んになるのは3月からです。毎日の天気には敏感で、晴天では半日もディスプレイをおこなっていますが、雨の日は止木の上で動かずにいます。ディスプレイは、翼を広げたり、尾羽を振り下ろしたり激しいものです。特にメスの周りを回るときの足音が非常に大きく、足を地面に叩きつけて大きな音を発します。とても鳥の足音とは思えない独特のリズムでメスに迫ります。ディスプレイが始まるとオスが広げた翼や尾羽に飼育者が手を触れたり、禽舎内に入っても平気でディスプレイを続けます。

産卵は4月から10月です。禽舎の隅にメスが落ち着いて産卵できるように適宜薄暗い場所を作っておきます。1日おきに2個産卵しますが場合によっては1個のこともあります。2個目を産めばメスは非常に熱心に抱卵します。親鳥による自然ふ化を行う場合はこのままメスに抱卵を続けさせますがオスは必ず別飼いとします。メスが抱卵している種卵は1週間程度で有精が分かるので、無精卵の場合取り除きオスを同居させます。早ければ1〜2ヶ月で次の産卵があります。この自然ふ化は、幾つか種卵を人工ふ化したあと、3回目(5〜6個目)以降に産卵したものを親鳥でふ化させた方が良いでしょう。

人工ふ化或いは仮母を使ってふ化させる場合は、産卵した種卵は速やかに取り保存します。2個目を産卵すると前記のようにメスが抱卵していて、信じられないほど卵を守るために激しく攻撃してきます。種卵を破損させないようメスを驚かせず慎重に回収します。セイランは時として年間の産卵数が2〜4個と少ない場合があります。有精卵となればふ化育雛は容易ですが、産卵時から種卵の破損やその後のふ化期間の失敗に細心の注意を払います。ふ卵器は幼児や他人にいたずらされたりしない安全な場所に置き、仮母が外敵に驚いたり襲われたりしないで安心して抱卵できる場所で飼育します。仮母は必ず1羽づつ飼育場所を分けて抱卵させます。産卵ごとに種卵を取り去れば順調ならば10月頃までに6〜10個程度産卵しますが、オスが8月には換羽期となってしまい、その後の産卵は無精卵となります。

小型ふ卵器による人工ふ化は、鶏の有精卵を幾つか入卵して内部を安定させてからセイランの種卵を入れます。種卵が2個の場合、電源を別系統とした2台のふ卵器に種卵を1個づつ入卵すれば危険分散ができ、またどちらかが理想的なふ化条件に近づくこともあります。またふ卵器の場合、毎日一定時間種卵を室温(気温)で放冷することが必要です。ウコッケイなど仮母を使うふ化では、仮母が熱心に抱卵する時期になってから種卵1個と鶏卵(有精卵)2〜3個を一緒にして抱卵させます。鶏卵はヒナが先にふ化してしまうので、ふ卵開始後1週間程度で新しい卵と交換します。2個種卵がある場合はウコッケイは2羽使います。セイランのヒナがふ化すれば鶏卵は廃棄します。この両方を合わせて、ふ卵器と仮母に1個づつ分けてふ卵すれば更に成功率が高くなるのではないでしょうか。なお仮母を使う場合、抱卵時期の調節や、ふ化のみ連続して2〜3回も行い2ヶ月以上も抱卵状態とする方がいますが、失敗の原因となるので注意します。目的とするキジのふ化日数より抱卵全期間で2週間程度長い日数までとした方が良いでしょう。また仮母として使える年齢ですが、ウコッケイで3年、チャボで2年程度で、長くても更に1年程度が適しています。毎年仮母の繁殖を行い、古くなった鳥は淘汰します。
(6)育雛
育雛は鶏のヒヨコより容易で、初生ビナで死んでしまうことはありません。人工ふ化では育雛器を使いますが、内部の温度管理は適温を保つように注意します。手作りの育雛器でヒヨコ電球や白熱電球を付けて温源部としている場合2個付けて破損に備えます。また育雛器もふ卵器同様安全な場所に置きます。

初生ビナの最初の餌付けが大切です。ミールワームやゆで卵の卵黄を与え、鶏の初生ビナ用の餌を与えます。各種のフィンチ用の餌や蚕の蛹粉なども利用できます。人工ふ化の場合、日齢の同じチャボなどのヒナ2〜3羽を一緒に育雛するのが良いかもしれません。セイランのヒナより日齢の大きい他のキジや鶏のヒナとは同居させないようにします。少しヒナが大きくなれば、野菜や果物を刻んで親鳥同様適宜与えます。病気には強いものですが、必要なワクチン接種等は適期に行います。ヒナの性別は慣れれば半年で分かりますが、確実に外観で分かるのは1年程度経ってからです。ヒナ(若鳥)は最初の冬の温度管理が特に大切です。足の指が凍傷にならないように注意します。
HOME