飼育・繁殖シリーズ 報告  栃木県宇都宮市 伊藤 正
キジ類繁殖入門
10/01/01
孵化・育雛(仮母)について 08/01/03
06/01/03
04/01/03
02/01/03
12/01/02
ミールワームの養殖
10/01/02
08/01/02

06/01/02

04/01/02

02/01/02
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(1) はじめに
私はキジ類の飼育に関しては全くの素人で、皆さんのように沢山の種類を飼育繁殖している訳ではありません。初心者向きの種類を何羽か飼育しているが、繁殖は失敗ばかりです。昨年の繁殖状況は、産卵数(無精卵を含む)に対する育雛率が6%程度でした。つまり17個の産卵に対して1羽のヒナが育った割合になります。今年は天候のためか、普段の管理が悪いのか、産卵数が少ないものでした。今年の育雛率(対産卵数)は前年とほぼ同じ7%です。産卵した卵は無精卵も多いのですが、それ以前に元気なメスでも全く産卵しない鳥もいて、キジの繁殖:が非常に難しいことを実感しています。何とか20%程度のヒナは育てたいと思っています。皆さんは私よりキジ類の飼育について10〜30年、或いはそれ以上のキャリアがあるものと思います。キジ類の飼育繁殖はベテランの方ばかりで、繁殖の参考になることも少ないと思いますが、素人なりにどうしたら繁殖できるか思いつくことを記載しまます。 皆さんが知っている繁殖のコツがあれば教えてください。
(2) 禽舎

禽舎以前の問題ですが、重要なことをふたつ。まず飼育している為に逃げられないことが大切です。私はよく逃げられました。多くは餌を与えるときに、鳥が餌を手から取るように慣れているため油断して逃げられます。この場合慌てないことが大切です。種穎によってはそのまま飛び去ってしまう鳥もいますが、追わなければ禽舎から出てもその後逃げないものです。多くはその日のうちに捕まえましたが、1週間ほどして捕まえたことが何度かありました。鳥が逃げたら驚かさないように適当な場所に追い込んで捕まえるようにします。そのため追い込めるような場所(禽舎の空き区画を含め)を作っておくことが有効です。また禽舎の網の劣化や破損に気付かなかったり、強風や積雪などで禽舎が破損したときや、時には犬などによる外敵の侵入により鳥が逃げたり殺傷される場合もあります。これらは日頃から注意しておく必要があります。私の失敗では禽舎の構造が悪く、その年生まれの若鳥が禽舎の壁際の地面に穴を掘って逃げ出し庭で数羽が遊んでいることがありました。今までに10回近く逃げられましたが捕まえられなかったことはありませんでした。

二つ目ですが、これはメスがオスに殺されないようにすることです。時には逆にオスがメスに殺されることもあるので注意してください。メスが隠れる場所を禽舎内に確実に作ります。キジ類はどんなに仲が良くても絶対メスは殺されます。このことは案外皆さんには理解いただけないと思いますが、殺されます。一瞬の出来事ですので発生してからでは遅いものです。禽舎の隅に隠れる場所を2〜3カ所適宜作ってください。この隠れる場所の構造はトンネル状では意味がありませんので、必ず行き止まりの構造としてください。禽舎の中央にメスが隠れる場所(?)のため色々な障害物を置く方がいますが、種類によってはオスのディスプレイの邪魔になるので注意してください。メスを中心に走り回る(ディスプレイ)鳥も多いものです。どうしてもオスがメスを追うことが強い場合は止まり木を高くして、オスの翼の羽の一部を切るなど工夫が必要です。

さて禽舎の実際の広さや構造ですが。これは人それぞれ違うと思います。禽舎の広さは羽数が少ないうちは割合広くても、数が増えると禽舎を細かく区切って狭い区画となってしまうのではないでしょうか。鳥が繁殖できるか、出来ないかは禽舎の広さではないと思いますが、ある程度の広さは必要です。小型の種類で2坪、一般的な大きさのキジで3坪、大型の種類で4坪以上。この程度の面積が繁殖させるための最低のものと思います。高さは2mから大型の種類は3m近くは必要です。外国の繁殖場の写真を見ると樹木や草があって自然の状態になっているようです。地面の草が常に伸びているようなので、1ペアで最低10坪〜20坪以上はあるものと思います。禽舎を作る場合広さと共に考えることに、全部屋根を設けるか、半露天として雨が自然に鳥に当たるようにするか、或いは全く露天として一部餌箱や鳥が雨を凌げる覆いを設ける程度にするか。色々あると思います。一般に狭い面積では屋根を設け、相当広い場合は露天に近いものとなるでしょう。出来れぱ非常に広い面積にして、露天に近い状況にすれば繁殖の可能性は高くなるものでしょう。しかし実際には限られた場所に禽舎を作ることとなるし、地方によっては冬季の積雪や寒さの問題もあり、また飼育するキジの種類との関係もあるので、各自自分の地方に合ったように作ればよいと思います。大切なことは屋根を設けた場合でも繁殖のためには出来るだけ鳥に直射日光が当たるようにすることが大切です。禽舎を作る材料は木材や鉄骨・鉄パイプなどが多いと思いますが、これも各自工夫して作ればよいと思います。私は農業用のパイプハウスを骨組みとして利用しています。次に禽舎に張る網ですが、まずある程度の強度があることが必要です。内側から鳥がぶつかっても破れないことと、外敵が侵入できない強度が必要です。また鳥によっては一般的な金網では網の針金を破ってしまうほど非常に強い嘴をもつ種類もいるので注意が必要です。一般的なものはビニール被覆の金網と思います。次に漁網のようなネットや樹脂製のネットでしょうか。どのようなものでも網目の大きさに注意して、スズメなどが侵入できない網目とし、また飼育しているキジの頭が入らない大きさの網目とします。

禽舎は幾つかの部屋を横に並べた長屋式の構造となることも多いものと思います。この場合間の仕切は地面より1m程度の高さまで板やその他の材料で隣の鳥の姿が見えないようにします。また止まり木を付ける場合も隣とは高さや位置をずらして取り付けるのが良いと思います。止まり木を取り付ける高さは禽舎の面積によって変わりますが、繁殖のためには羽ばたいて止まる高さとすることが、非常に大切です。ある程度の面積の禽舎では1.5m以上の高さとします。更に広い禽舎では2〜3mかそれ以上あってもよいと思います。鳥が止まったときに鳥の頭と屋根までの間隔は充分あるように高さを考慮します。また禽舎の屋根の下に衝突防止用のネットを張れば事故を減らす効果があるものと思います。禽舎内の突起物や不必要な隙間は事故のもととなので極力無いような構造とします。私の失敗では鳥が間仕切り際の床の士を掘って、隣の区画に入ってしまいいじめられて死んでしまったことがあります。皆さんの禽舎の床は、土のままか、砂を入れるか、コンクリートとしているか、時こは籾殻など敷いているものと思います。露天或いは半露天の場合樹木を植えている方も多いものです。動物園では半露天として木を植えて、やや砂を敷いたような状態をよく目にします。毎日のように禽舎内は掃除をしているようですが、鳥の状態は非常に悪い場合が多いものです。多くの動物園ではキジ類の繁殖には熱心でないので、ただ飼育展示しているだけのようです。キジの飼育の書物でも一般的には禽舎の床は砂を敷けばよいようになっていますが、どうでしょうか。実際には「その鳥の原産地の野生の環境を充分再現する」、ということが繁殖には大切と思います。実際にはかなり難しいものですが、キジ類全部が砂漠に生息している訳ではないので、ただ砂を敷いておくだけでは、不十分な種類の鳥もいることでしょう。厳しい高山にいる種類や熱帯に近いところのものなど生息環境は様々です。全国各地の夏の暑さで困るキジはいないと思います。また冬でも暖かいところが原産のキジでも割合寒さには強く、慣れれば氷点下10度程度までは問題ないと思います。特に寒い地方では冬季保温なり加温するなど防寒には注意と工夫が必要です。屋根がある禽舎の場合は禽舎内が乾燥して、鳥が動くたびに埃がたつようなことがあります。健康上の問題もあるので、このような時は適宜散水してやればよいと思います。鳥は湿気のある土を非常に好みます。(1年に1〜2度は土を人れ替えてください)餌との関連ですが、禽舎内には腐葉土(一般の雑木の落葉よりは腐食して、もろくなった状態か、やや葉の形が崩れて細かくなったようなもの))か落葉を適宜投入してやることです。禽舎内に多量に入れてやれば良いのでしょうが、少量の場合は餌箱をふたつにして、片方に腐葉土(できれば湿気を保ったもの)を入れておくのもよいと思います。これは非常にキジの繁殖に効果がある(?)のではないかと思います。更に自然の樹木の朽ちたものや椎茸栽培の使用済みほだ木なども良いのではないでしょうか。庭木の剪定枝なども利用できるものもあると思います。禽舎内は単に清潔(?)に保つ清掃をするのではなく、自然の環境に近づけることが大切です。

(3) 飼料


皆さんが使用しているキジ類の飼料は、一般の養鶏用の配合飼料やキジ用(鶏用)のペレット、時にくず米やくず麦などが多いと思います。これらを中心にその他各自工夫して色々なもの混ぜているものと思います。人によってはドッグフードや養豚用のペレットなども利用しているものと思います。私は一般の養鶏用の配合飼料(粒は細かい)に養鱒用の小粒のペレットを2%程度・牡蠣殻を1%程度混ぜ、鳩の配合飼料を別に2%程度与えています。給餌は毎日でその日に食べきる量としています。翌日に餌の粒が残らないように心がけています。繁殖のためには翌日には餌の粉の部分も残らないよう少量与えるか、1週間に1〜2日は給餌を中止(実際には残った粉の部分を食べている)することが大切と思います。しかし減らしたようでも私は与えすぎているようです。必要量以上の給餌では有精卵を得ることが難しくなってしまいます。

基本の餌の他に菜類やその他の野菜や果物も当然与えることが大切です。キジの種類によっては野菜や果物が主食で穀類の餌は副食のようなキジもいますので、キジの種類によって好みが大きく違うことがあります。出来るだけ多くの種類を与えてみて鳥が喜んで食べるものとします。野菜類は配合飼料とは対照的にできるだけ多くの種類を多量に与えることが、有精卵を得ることに有効です。翌日に食べ残しがある程多量に細かく刻んで与えます。私はキャベツ(スーパーで不要なものを譲ってもらう)を年間通して与え、時にニラ・カボチャ・ニンジン・トマト・サツマイモ・リンゴ・カキなどとしています。野草や雑草、自家に果樹がある方は熟期前に落下したものなど、キジの種類によっては食べるものも多いと思いますので、色々与えてみると良い結果となります。菜類を食べない種類でもカボチャやリンゴなどは喜んで食べるキジもいます。生きた昆虫も鳥は好んで食べます。普通はミールワームを与える方が多いと思いますが、コオロギを養殖している方もいるでしょうか。夏季で短期間で大量に利用する場合は蛆も良いようです。蛆も養殖の方法によっては割合乾燥した状態でそれほど不潔な状態でなく増やすことができますし鳥の嗜好も良いようです。その他手に入れば野生の昆虫類も色々与えてみてください。鳥は昆虫類を好みますので与えすぎには注意します。その他与えたのが良いと思うものに木炭や小石があります。専門家の方には木炭は必ず与えたのが良いとよく言われます。最近細かく砕いて少量餌に混ぜて与えるようにしています。木炭の粒を好んで食べる種類と啄んでも食べない種類のキジがいます。細かい粉の部分は餌と一緒に食べているものと思います。また配合飼料に混ざっている細かい小石は餌の消化にも役立ちますが、キジの種類によっては更に大きな1cm程度の小石をくわえてオスがディスプレイをしたり、遊んだり(?)しています。禽舎内には鳥のオモチャ(?)になるようなものを入れておくのも面白いと思います。

(4) 産卵

キジ類の鷹卵は早いものは2月に始まり、最後の産卵は10月上旬まで続く種類もあるものと思います。多くは3月下旬から7月までが繁殖期となります。 産卵数は少ない種類は2個程度のものから、4〜5個、10個程度、20個以上、50〜100個のものなど様々です。 産卵パターンも2個を1日おきに産卵してその年の繁殖は終わりというもの、月に2個づつ数ヶ月産むもの、数個の卵を2週間程度のうちに産む種類。1〜2日おきにある程度産卵し少々休んでまた同じように繰り返し、数十個以上産卵するものなど色々です。

産卵場所は地面と樹上(高所)に産卵する種類があります。地面に産卵する種類には適宜触れる場所を作ればその場所に産卵することが多いものです。しかし鳥(種類)によっては場所を決めずに産んでしまい、その後踏みつぶしたり食卵癖により卵が破損する場合もあるので、採卵は産卵後可能な限り早くしたのが良いと思います。

樹上に産卵する種類も多いものです。これらの鳥には、昔ながらのリンゴ箱を上に向けて高所に設置したり、それより浅い小型の木製の箱を設置したり、ざるなどを止まり木に取り付けたりする方が多いようです。樹上に設置するこれらの箱などは余裕をもって少々大きく・深めのものとし落下しないように確実に取り付けておくことが大切です。これらの産卵場所は禽舎の入口に近い所に作れば、産卵の確認や採卵に便利と思います。

キジ類の繁殖ではオスとメスを番わすことが結構難しいものです。激しい場合はメスが殺傷されることも多いものです。禽舎の中にはメスが隠れる場所を必ず作ります。オスが攻撃的でも有精卵となる場合と、仲が良いようでも全部無精卵となるなど難しいものです。
全くメスに興味がないようでディスプレイをしないようなオスでも、全部有精卵となるようなこともあります。 オスが強い場合普段は別々に飼育しておいて、交尾を行う日のみ同居させるような禽舎の構造の方も多いものと思います。分けておけばメスがいじめられるようなことも少ないものと思います。 また時にはオスの翼の羽を切って、止まり木をある程度の高さに設置してメスが逃げられるようにするのも良いかもしれません。

キジ類では最初の産卵の幾つかは有精卵となり、その後多くの卵が無精卵となることがあります。 私の全くの推測ですが、これは一回の交尾で有精卵となる卵の数ではないでしょ,か。 メスがオスを受け入れるのが(時にはオスの交尾が)非常に短期間なのかも知れません。

自然界の繁殖では数個から10個程度が有精卵となりヒナが生まれれば良いわけです。 飼育下では産卵した卵を取り去るため補充産卵しますが、前記のように最初の交尾による有精卵以降多くの卵が無精卵となるのではないでしょうか。

一般のキジでは1回の受精で2週間以上は有精卵となるようです。ニワトリの場合1ヶ月近く有精卵を産みます。
またオスとメスを新しく同居(交配)させたときは3日目以降が有精卵となります。

また食卵癖で困る場合もあります。オスが食卵癖の場合はメスの産卵場所を工夫して作るか、メスが産卵予定の日はオスを別にすることが必要です。メスが食卵癖の場合専用のメガネ(オスにも共通)の装着が良いかも知れませんが、なるべく早く卵を回収することが大切です。
キジ類を飼育していると体格が良く元気なメスでも産卵しないことが珍しくありません。むしろ順調に産卵することが少ないのではないでしょうか。産卵しないケースは元気に見えても何らかの病気のことも多いと思いますが、私は与える餌の種類のバランスが崩れていることと、与える量が多すぎることが原因のひとつと考えています。キジ類は一般のニワトリの飼料で充分飼育出来ますが、繁殖に必要(或いは不必要)な飼料やその他の条件は一般の日本鶏などとは比べものになりません。 

産卵しないメスに卵を産ませるのにはどうしたらよいのでしょうか。まず考えられる病気の予防や治療を行うことが大切です。次に基本の配合飼料などの餌の量を減らし、多くの野菜や果物・その他野生のときに摂取できる餌を多量に与えることと思います。皆さんの飼育環境(禽舎の面積や飼料の種類や給餌の方法)は各自様々です。同じ餌を与えた場合でも、禽舎の面積や構造などによっても結果が異なるものと思います。そして鳥が元気に見えても色々な病気や寄生虫に感染している場合が多いので、時には獣医などに相談するのも大切でしょう。

産卵しても卵の殻が軟らかい場合があります。ある程度その鳥の体質(個体差)のようですが、幾つか産卵したあとに突然発生することがあります。その後回復することもありますが繁殖には難しい場合もあります。私は年間を通して餌に混ざっているものとは別に牡蠣殻を更に与えていますが、それでも時にはこのような卵を産む鳥がいます。 

また外観は正常な卵に見えても検卵用の光を通して見ると殻の組成が不均一なものがあります。これは結構多いものです。これもその鳥の体質や体調・年齢ときには飼料の影響のこともあるようですが、発生すると無精卵の場合が多いようです。部分的に殻が薄く卵が破損しやすいことも多く、有精卵の場合でもふ化には注意が必要です。